ひので動物クリニックのBlog

愛知県弥富市にある「ひので動物クリニック」のブログです。

祝!退院!

急性膵炎で入院していた、我が家のノンちゃんがついに退院しました!
以前の記事を書いた時点では、改善の兆しもなく、僕自身も落ち込んでいたのですが、
その後急激に状態が改善し、昨日退院しました!

消化器専門医として膵炎はたくさん経験してきましたが、治療するに当たり大事なことは、

  • 点滴によって水分を補給する
その他の内科疾患と比べて膵炎は脱水状態を起こしやすく、脱水状態がさらなる膵炎の悪化を引き起こします。 ただし、お年寄りの子や心臓病を持っている子の場合、点滴を入れすぎると体がむくんでしまったり、肺に水がたまって逆効果になります。この点滴を入れる量のコントロールは内科医の腕の見せ所だと思います。
  • 吐き気を一刻も早く止める
膵炎でよく起こる症状は、頻回の嘔吐です。嘔吐が続くとご飯をあげられず、栄養状態の悪化につながりますし、胃液を吐く事で脱水も起こします。現在ではマロピタントなど高性能な吐き気止めがありますので、よく使用しています。
  • 食餌療法を行う
膵臓は食べ物の消化に重要な役割をはたす内臓の一つです。より消化しやすく、膵臓に負担をかけない療法食を使用すると改善しやすいと思います。
免疫機構の異常による膵炎が、ワンちゃんでも最近報告されるようになりました。上記の治療で改善が悪い場合は、その可能性を疑って免疫を抑えるお薬(ステロイド剤)を使うと改善することがあります。実際ノンちゃんもステロイドを使用してから改善しました。
  • その他に
膵炎の原因となる膵酵素のはたらきを抑えるお薬や、腹痛を抑えるお薬も効果がある可能性があります。



もちろん完全に治った訳ではなく、通院で治療できる程度まで回復したという事です。
今後は週2-3回の皮下点滴と内服薬で、注意深く経過をみていきます。